大和長谷寺は西国三十三所第八番札所として、古来より我が国観音信仰の中心地として、源氏物語にも登場します。

そして室町時代には、将軍家三代に仕えた室町幕府同朋衆 能阿弥がこの地で最期を迎えました。

　この度、そのゆかりの境内に能阿弥顕彰之碑を建立しました。お披露目として本堂における献茶式と、能阿弥の絶筆といわれる「蓮図」を収蔵する正木美術館による濃茶席を中核に茶会を開催いたします。昨年、改修がなった茄藻庵のお披露目も兼ね、553年振りに里帰りとなる能阿弥「蓮図」(国指定重要文化財)をご覧いただく予定です。

　ときは新緑の好季節、これを機に日本文化に大きな足跡を残した能阿弥の偉業を顕彰すべく、大勢の皆様にご参会頂きたく、ここにご案内申し上げます。

能阿弥顕彰会　代表　千　宗屋

「長谷寺能阿弥顕彰碑建立記念茶会」

日時　　令和六年五月二十二日(水)

寄付　　　　於　　　歓喜院　　　　　　　　　　　　　　 とき　九時

献茶式　　　於　　　本堂　　御奉仕　　隨縁斎　千宗屋    とき　  正午～

濃茶席　　　於　　　本坊　　表書院　　正木美術館　　　 とき     九時～

薄茶席　　　於　　　本坊　　奥書院　　鳥井妙招　　　　とき　   九時～

点心席　　　於　　　歓喜院　昭和寮　　　　　　　　　　とき　十〇時～

蓮図拝見席　於　　　歓喜院　茄藻庵　　　　　　　　　　とき　   九時～

※献茶の時間帯は各席中断します。

受付終了時間　14時

濃茶席・薄茶席・点心席共に、14時20分の席が最終となりますので、特に濃茶席が13時40分、14時20分をご予約の方は他の席も済ませておいてください。

【予約について】

濃茶席の希望時間に予約をお願いします。

午前：　　9時　　9時40分　　10時20分　　11時　　　　(午前中4席)

午後：　13時　　13時40分　　14時20分　　　　　　　　(午後3席)

会費：25000円

定員：各席25名(7席)

お問い合わせ　　　　能阿弥顕彰碑建立記念茶会事務局(奈良町情報館)

住所　　　　　　　　奈良市中院町21

電話・ＦＡＸ　0742-26-8610　(午前10時～17時迄　土・日・木・休)

記念茶会に先立ち、顕彰碑建立除幕式を執り行いました。

奈良テレビ　長谷寺能阿弥顕彰碑除幕式

産経新聞　長谷寺、能阿弥の顕彰碑建立　室町文化の発展に寄与

長谷寺　能阿弥顕彰之碑　建立に寄せて　千　宗屋

「公方奉公能阿弥、於長谷寺去月入滅了。天下明（名）人也」（『大乗院寺社雑事記』文明三年（1471）八月五日条）

　室町時代、足利将軍家三代にわたって仕えた同朋衆能阿弥（1397-1471）は、当代きっての連歌師であり、表装．書画工芸の鑑定、座敷飾りの制定、絵事の作成や指導といった、中世の芸能芸術全般に幅広く才を発揮した。またその職能はのちの茶道、華道、香道の基礎となり、今なお我々の生活文化に大きな影響を与えている。その能阿弥が、古代から観音信仰の中心地である大和長谷寺で没したことはあまり知られていない。また墓所の存滅も不詳、同寺に彼ゆかりの品や史料は何も残されていないという。

　茶人や歌人、美術関係者にとってその始祖ともいうべき能阿弥へ想いを寄せる場がないことは、我が国の文化にとって大きな損失と常々思っていた。幸いご縁を得て長谷寺寺務長川俣海淳師にお話をしたところ大いにご賛同いただき、この度ゆかり深い同寺境内、仁王門際の歓喜院ご門前に顕彰碑を建立いただく運びとなった。題字にはご指名により恥ずかしながら禿筆を染めた。また碑に刻まれる能阿弥自筆の和歌は、その没年におそらく同寺で認めた絶筆「蓮図」（重要文化財 正木美術館）に書かれた辞世である。

　これを機に今につながる日本文化の基盤を成した能阿弥の偉業を大いに顕彰し、多くの方に知ってご縁を結んでいただきたい。そして茶花香をはじめとする日本の文化・芸術に心寄せる人々にとって長谷寺が心の拠り所となることを切に願う。